お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する
「一葉 勇運(ひとつば ゆう)。俺の名前だ」
「分かった。勇運くん」
すると勇運くんは、少しだけふてくされた。「別に”くん”はいらねーよ」なんて、愚痴をこぼしながら。
そして――
勇運くんに引っ張られながら、学校へ急ぐ私。何とか始業のチャイムまでに、教室に入る事が出来た。
ガラッ
すると、
「勇運~。遅かったなぁ」
「真面目な勇運が、遅刻するかと思ったよ~」
教室に入るやいなや。勇運くんの周りに、人が集まる。
勇運くんは「うるせぇ」なんて言いながら、シッシッと皆を追い払っていた。
……そっか。
ハチ事件の時に思ったのは、コレだったんだ。
――腕を辿ると顔が見え、クラスで有名な男子だと分かった
クラスで有名な男子――そう。
勇運くんは、いつも皆に囲まれてる人気者。