お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「一葉 勇運(ひとつば ゆう)。俺の名前だ」

「分かった。勇運くん」


すると勇運くんは、少しだけふてくされた。「別に”くん”はいらねーよ」なんて、愚痴をこぼしながら。


そして――


勇運くんに引っ張られながら、学校へ急ぐ私。何とか始業のチャイムまでに、教室に入る事が出来た。

ガラッ

すると、


「勇運~。遅かったなぁ」
「真面目な勇運が、遅刻するかと思ったよ~」


教室に入るやいなや。勇運くんの周りに、人が集まる。

勇運くんは「うるせぇ」なんて言いながら、シッシッと皆を追い払っていた。

……そっか。

ハチ事件の時に思ったのは、コレだったんだ。


――腕を辿ると顔が見え、クラスで有名な男子だと分かった


クラスで有名な男子――そう。

勇運くんは、いつも皆に囲まれてる人気者。
< 39 / 398 >

この作品をシェア

pagetop