たゆたう、三角関係
帰り道
私たちは終電の数本前の電車に間に合った。

サラリーマンや同じような大学生で混雑した車内。座れるわけもなく、ドア付近に二人で立つ。

「大学生って感じだったな」

ほのかにを赤くした藤遼平はドアにもたれ掛かって、独り言のように呟いた。

「楽しいけど」と付け加える。

「けど?」
「んー圧倒されたかな」
「高校とは違うもんね」
「楽しいんだけどね、自由だし。でも外の世界が一気にグワッとくる感じはあるよね」

藤遼平はそう言いながら、窓の外の暗い世界に視線を投げる。

横顔整ってるなあ、と鼻筋から唇にかけてのラインを見て気付く。

もうちょっと幼くてかわいい印象だったのに、これを大学デビューと言うんだろうか。
髪が伸びたのか、私服だからか、もしくはもともとこういう顔をしていたのにちゃんと見てなかったのか。

揺れる車内、終わりかけの眠る街を走り抜ける。

「ん?」

藤遼平は私の視線に気付いた。

「ううん、藤くん肌綺麗だよね、羨ましい」
「ああ、気にしたことないけど」
「それが羨ましいんだよ、鼻高いし」
「鼻目立つよねー」

藤遼平はそっと鼻を撫でて、そして両手で顔を覆い隠す。

「見ないでよ、恥ずかしい」

目だけが見えてる状態で、笑いながら言う。

「藤くんってこんな顔してたんだって気付いて」
「やめてよ、こんな汚い顔を」
「汚いってなに、むしろ女の子よりキレイ」

私が褒めると、彼はへらへらっと笑った。

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