たゆたう、三角関係
土曜の夜、8時半からてつじさんのアパートに8人が集まった。
紗里と私が着いた頃にはもう飲み会が始まっていて、端に腰を落とすとわざわざ窓際に座ってたゆうのすけさんが向かってきた。

「何飲む?」

そう言いながら小袋に入った柿ピー5袋を私の膝元に置く。

私は壁際に置かれていたボトルを引き寄せ、自分で飲み物を作った。

「今日どうすんの、帰るの?」
「帰れたら」
「帰れたらって言ってる人は帰れないんだよー」

ゆうのすけさんの硬い手が私の頭を撫でた。ちょっと自分が汚れた気になってしまう。

そしてベッドの脇に座っていた藤くんがバッチリと見ていたことに気付く。
私と目が合うとわざとらしく逸らした。

ああ、なんて思ったんだろう。

藤くんの隣を可愛らしいミクさんが陣取るように座っていた。私からの角度だと下着が見えそうなスカートを履いている。

ミクさんは何度も藤くんの顔を覗くように見る。

それを上手く受け流すのが、上手だ。

あ〜やんさんは途中から来たのに、お酒を一杯だけ飲むと「明日朝からバイト入れちゃったのー」と言いながら飛び出すように帰っていった。

てつじさんが「あいつ、何のために来たんだ」と笑う。

ダラダラと夜が過ぎて行く。
途中紗里が「実琴、今日どうする?」と聞いてきた。
私は時計を見て「もう今日は帰るの無理だよ」と笑うと「じゃあ私も泊まってこ」とスマホでお母さんに連絡を入れる。

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