たゆたう、三角関係
駅に戻って分かれてもいいと思ったのに、彼は土手に行きたいと言った。
駐輪場で彼の自転車を取り出し、歩きながら川沿いへと歩いて向かった。

こういうこと全てが、高校の時のまま変わらなくて恥ずかしい気持ちになる。

彼と付き合っていると高校生の時のままコンクリートで固められる気がする。

多摩川沿いはマンションが建ち並んでいて、晴人もそのうちの一つに住んでいた。川沿いに真っ直ぐ進んで、橋の方に折れて多摩川を渡ると藤くん家、住宅街に折れると私の家で、晴人からすると両方通いやすかったのだと思う。

昨日今日と晴れていたから土手も乾いていた。私たちは腰を落とす。私が座ったすぐ隣にまた彼は座るから、肩と肩が触れ合う。

生理的には嫌いじゃない。
きっとまだ好きで、彼のことを受け止めようと思えば受け止められる。

彼が腕を私の背後に伸ばして、体を支える。

「好きな人いるの」

そっと彼が口を開いた。

「まだいないけど、すぐできそう」
「まだいないんだ」

うん、と私は頷く。
彼の腕が私の背後で動いて、しっかりと背中に触れるように置かれた。

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