別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~

3. 実家のひと騒動

『姉ちゃん、助けて。俺引っ越しやだ』
『え、何? 引っ越しって?』

 突然聖から電話がかかってきたかと思えば、寝耳に水なことを言われて瞳は戸惑った。実家が引っ越すなんて話は聞いていない。いったいどういうことだと聖に詳しく聞いてみれば、母が一時的に家を空けるという話だった。

 今、瞳と聖の父親は海外に単身赴任しており、実家には母と聖だけが住んでいる。母は今は専業主婦で家にいるのだが、瞳の母方の祖母、要は母の母が怪我をしてしまって、日常生活に影響があるから、しばらくの間祖母の家に行くと言っているらしい。母は一人っ子だし、他にすぐに頼れそうな人もいないからそうなるのはまあわかる。それでその期間が半年くらいと長めだから、聖も一緒に連れていかなければならないかもしれないということらしかった。母が直接聖に話したわけではないようだが、母が祖母と話をしているところを聖が聞いてしまって、慌てて瞳に連絡してきたようだ。

『そう。お母さん、今家いる?』
『いる』
『じゃあ、お母さんに代わってくれる?』
『わかった』

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