別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~

5. 伝え合って

 優からのアドバイスに従って、拓海は素直にわかりやすく瞳に想いを伝えようと思った。言葉だけで伝えてもいいが、瞳のために何かをして伝えられたら、それが一番いいと思って、拓海は瞳にある提案をしたのだった。

「瞳。今日の昼ごはん、俺が作ってもいい?」
「え? 作ってくれるの?」
「ああ。まあ、チャーハンとかになるけど、それでよければ。どう?」
「俺、拓兄が作ったご飯食べたい!」

 瞳に聞いているのに、聖のほうが喜んで賛成してきたものだから、瞳も拓海も思わず笑ってしまった。

「もう聖……じゃあ、お願いしようかな。ありがとう、拓海」

 わざわざ反対したりはしないと思っていたが、やりたいことの許可がもらえて拓海はほっと息をついた。

「いいよ。今日は任せて。よし、聖、お前も手伝え」
「えー」
「少しはできるようになったほうがいいって言っただろ? 俺と一緒だからいいだろ?」
「拓兄が教えてくれるならやる」
「おう。教えてやるから、一緒に作るぞ」

 瞳と拓海の指導の甲斐あって、聖は瞳に協力することが増えてきてはいたが、料理に関しては完全ノータッチのようだったから、少しくらいは触れさせようと思って、拓海は聖も巻き込むことにしたのだ。拓海だと大したことは教えてやれないのだが、初心者同士ちょうどいいだろう。
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