別居恋愛 ~もう一度恋からはじめよう~

3. 甘ったるいケーキ

 植物園を出たあと、二人はホームセンターとスーパーに寄って買い物を済ませた。拓海が荷物持ちを買って出てくれたから、瞳は随分と楽に買い物を済ませられた。

「よし、これで全部終わりだな」

 買ったものを車にすべて積み込み、あとは帰るばかりとなった。

「うん。本当にありがとう。助かった」
「どういたしまして。なあ、瞳。ケーキ買って帰ろうか」
「え、ケーキ?」

 今日は特別に何かがある日ではない。突然どうしたのだろうと瞳は思わず聞き返していた。

「ああ。好きだろ?」
「うん、好きだけど」
「頑張ってる瞳へのご褒美ってことで。聖には内緒な?」

 ただ二人だけでこっそり食べようということらしい。まるで悪いことをしているようなトーンで言ってくるから、瞳は面白くて笑ってしまった。

「ふふ、私たちだけ?」
「ああ、たまには俺たちだけ楽しんでもいいだろ? 聖は聖で今楽しく遊んでるわけだし」
「そうだね。じゃあ、そうしようか」
「よし、じゃあ、買いに行こうか。すぐそこに洋菓子店あるよな? そこでいい?」
「うん、いいよ。あそこのケーキ、どれも美味しいから」

 スーパーからほど近い場所にパティスリーがある。年中置かれている定番商品だけでなく、その季節特有の限定商品もあって、季節ごとに足を運びたくなってしまう店だ。二人はその店へ向かうと各々好きな商品を選んで購入し、家へと帰ってきた。
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