女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
4章 守る覚悟
○数日後、桜花宛に本戦の通知が届く。

桜花の父、吉野慶司は桜花の病室に血相を変えて入ってくる。

吉野は本戦の通知が入った封書をベッドに叩きつける。

吉野「将棋などに現を抜かしている場合か! お前は受験生だ。そもそも対局後に失神するような状態で、何局も何時間もの対戦に耐えられるのか!」

桜花「将棋は私の生き甲斐ですの。受験も志望校にきっと受かってみせますわ。本戦は例え這ってでも指し通してみせますわ。タイトル戦だけではありませんわ。私、将棋はずっと続けていきますわ」

吉野「何故そこまで将棋にこだわる? 何故そこまでして将棋など」

桜花「自分に自信を持ちたいからですわ。翡翠さんに釣り合う女性になりたいからですわ」

吉野「翡翠くんだと!? 何故、彼が」

桜花「お父さまには解りませんわ、出ていってください」

桜花は捲し立てると、父吉野から顔を背ける。
< 12 / 43 >

この作品をシェア

pagetop