女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
5章 進路と将棋
○高校、教室。

女子A「桜花。進路調査表出した?」

桜花「いつまででしたかしら?」

女子B「やっぱりまだだった? 明日までだけど」

桜花「迷ってはいませんのよ、ただえっと……」

桜花は鞄の中から進路調査表を挟んだファイルを取り出す。

桜花「……白紙でしたわ」

桜花はフフッと笑い、筆記用具を取り出し書きこんでいく。

女子A「桜花って、しっかりしているようで、抜けてる」

女子B「将棋の対局でたいへんだったから忘れてたのよね」

桜花「そういうわけでは……」

女子生徒が調査表を覗きこむ。

女子A「ああ、やっぱり医学部志望」

桜花は顔を上げ、手を止める。

桜花「ええ。病院の娘ですから」

女子B「将棋は?」

桜花「将棋はもちろん続けていきますわ」

桜花は間髪入れずに答える。

目を輝かせて。
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