女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
8章 八幡さまが味方
○7月25日。
福岡県福岡市HOTELニューオータニ博多。
大光建設杯清麗戦 本戦第2局。

(桜花、制服。見里、黒スーツ姿)

先手、桜花の7四歩指しから始まる。

7手目。
先手、桜花が4八玉を指し平凡だった盤上はしだいに活気づく。

五分五分の攻防が続く。

拮抗を繰り返し終盤。

81手目。

先手、桜花2五銀に対する後手、見里は4四銀と指し返す。

桜花は即1四銀と指す。

持ち時間は見里10分、桜花5分。

見里は桜花の指した1四銀を睨みつける。

1四銀を無視して、5五金と指せば形勢は後手見里が優勢になるのはわかっている。

が、見里の頭に1四銀が離れない。

売られたケンカに背を向けて勝ってもと意地が働く。

銀を取り、ケンカを受け勝ってこそ、1流ではないかと。

見里は5分、葛藤し9六香と指す。

桜花は4四歩、後手見里の王は窮地に立たされている。
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