女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
10章 勝てば良いのでしょう
○8月7日。

大光建設杯 清麗戦 第3局。

グランドホテル大阪(大阪府大阪市)。


見里加奈 清麗、先手。

(見里、グレースーツ姿)

吉野桜花女流4段、後手。

慎重な面持ちで始まった第3局。

負ければ後がない見里清麗は、桜花よりも更に慎重になっている。

後手、桜花が8七歩と指し角の道を開けると盤上は活気づいた。

中盤、先手見里5六角を受けて後手桜花が5四飛、続けて先手見里4ニ桂。

後手桜花4八金、互いに拮抗を繰り返したが、先手見里清麗が7七馬と指し、形勢は一気に先手優勢になる。

AIの予想は先手80%、後手20%。

終盤はどちらも既に持ち時間は使いきり、1分以内の秒読み。

後手、桜花は3四金と指したが納得のいく1手ではない。

先手見里清麗が8四飛と指し、桜花は厳しい状況。

ギリギリでどうにか7一銀と指したが、敗けを覚悟した。

先手見里清麗5三とで決着が着いた。
< 31 / 43 >

この作品をシェア

pagetop