女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
11章 私の辞書に
桜花は翡翠に心配をかけまいと、翡翠にお見合いの話は一切、訊ねなかった。


○8月22日。

大光建設杯 清麗戦 第4局。

関西将棋会館(大阪府大阪市)。

会場の内も外もタイトル戦、第4局で賑わっている。

視聴室には端島、萩尾、翡翠の姿もあり、対局開始を今か今かと待っている。

桜花の席側のお盆には、翡翠が差し入れた如月製薬の栄養ドリンクが数本セッティングされている。


○関西将棋会館前。

報道「大光建設杯 清麗戦、第4局。挑戦者の吉野桜花女流4段が2勝、見里清麗が1勝。今日、吉野女流4段が勝てばタイトル奪冠。見里女流6段の連覇は潰えます。見里か吉野か、間もなく対局開始です」

○対局室。

(桜花、首には翡翠からもらった八幡宮のお守り。見里、羽織袴。胸元に扇子)

記者1「見里清麗、意気込みは?」

見里「勝ちます。何がなんでも勝ちます」
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