女流棋士はクールな御曹司と婚約したい
12章 愛している
翡翠「桜花。賭けのこと、知っていたのか?」

桜花「ええ。偶然でしたけれど、知っていましたわ。だから、どうしても負けられませんでしたわ」

翡翠「待合室でずっと対局を見守っていた。何度も声援を送った。自分が指している時よりも、苦しかった」

桜花「私はただ勝つことだけを考えて指していましたわ。翡翠さんにお見合いをさせたくなくて、どうしても勝たなければと……」

翡翠「俺は不甲斐ないな。君には心配をさせてすまなかった」

桜花「お見合いするかもしれないと知った時は悔しかったですけれど、それでスイッチが入りましたわ」

翡翠「俺は見合いのことを耳に入れてはいけないと、父に口止めまでして、秘書に相談したというのに。桜花は強いな。ご褒美……お礼は何がいい?」


桜花はあの日、翡翠とイタリアンの店に入っていった女性は秘書だったのかと、納得する。
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