幽霊の依子さんは 今日も旦那様を愛す
私、大路依子は真っ暗な部屋のソファに一人、腰を掛けていた。



修平が風邪を引き、姫川さんが看病をして以来、仕事以外での修平の帰りが遅くなった。
休みの日に出掛けることも増えた。



修平は忘れることなく、グラスの水を代えてくれる。

「おはよう」
「行ってきます」
「ただいま」
「おやすみ」

毎日同じ挨拶をする。


時々、
「依子」
と呼び掛ける。



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