課長のケーキは甘い包囲網

 並んで研修を受けていた清水沙織ちゃんが聞いてきた。彼女はすごい美人さん。男の子達がいつも帰りに待ち構えている。

 ストレートのボブのワンレングスで二重のパチリとした瞳が魅力的。きっと彼氏はかっこいいだろうなと想像する。彼氏がいるっていつも周りを断ってる。

 ここ一週間ですっかり友達になった。

「そうだなあ。まあ、どこでもいいけど、いずれ広報の中に入りたいな。味見して宣伝する」

「……ぷっ!広報って味見出来るの?」

「えー?宣伝するには味見しないと……文章書けないよ」

「新商品の売り文句って、コピーライターとかが書くんじゃないの?味見は開発担当の人達だよ。あとは偉い人とか?」

「えー、そうなの?じゃあ、店舗だと最初に味見出来るかな、新商品とか……」

「……あーはは。面白いね、田崎さん最高!」

 むう。やっぱり笑われた。私って、馬鹿なのかな、やっぱり。
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