課長のケーキは甘い包囲網

「何してるんだ、春日?」

「あれ?沢島、部屋番号これであってる?」

「ああ、合ってる」

「ブザー鳴らしたら、女の子の声がした。俺の声を聞いたら、ぶち切りされた。説明してもらおうか」

 課長はため息をついた。そして、画面に向かって言った。

「開けろ」

「……はい」

 私はゲートを開けて、走って部屋へ戻ると速攻で服を着替え、化粧室へまた走り、髪の毛をまとめて顔を洗った。軽く薄化粧をしていたら、ガチャっと音がしてただいまという声がした。

 私は出て行くべきか、隠れるべきかわからず、とりあえず鏡に映る自分を確認して決心した。

「お、お帰りなさい……」

 玄関に入った春日課長は私を見て固まった。
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