なぜか、溺愛される1日を繰り返しています。
知明は熱くもないのに背中に汗をかいていた。
一体どうして彩は怒っているんだろう。

普通に質問しても答えてもらえないだろうし、どうにかして自分で心当たりを見つけないといけない。
だけどどれだけ記憶をたどってみても思いつくことはなかった。


「今日、私の誕生日なんだけど」


しばらく歩いたところで彩がポツリと呟いた。
それに反応して知明はすぐ笑顔になる。


「もちろん、覚えてるよ。ちょっといいレストランを予約してあるから、お昼は軽くで済ませようよ」


冗談半分でそう言って見せても彩の表情は険しいままだ。
睨まれている気分になって知明は思わず視線をそらせた。

今日は彩のバースデーデートなのだから知明がそれを忘れることなんてない。
プレゼントも沢山買ったし、ディナーの予定もばっちりだ。
だから今日はとても楽しい1日なるはず……だったのに。
< 31 / 92 >

この作品をシェア

pagetop