【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 玉座から立ち上がり、配下の者から剣を奪ってリリカの喉に突きつけようとするセーウェルト王。
 
「陛下……! か、彼女は大聖女の血筋に属する者! それを失えば我が国は国益を損じます!」

 焦るギーツだったが、当のリリカは顔を上げ、にっこりと微笑むと堂々と告げる。

「お戯れはおよしになって下さいませ。わたくしの提案を飲んでくださったからこそ、国境から兵を引き、ジュデットに停戦を申し込まれたのでしょう?」
「ふん……。今のところは冗談で済ませておいてやろう。しかし上手くいかねばそうなるのだと肝に銘じておけ」
「へ、陛下……。リ、リリカ……?」

 セーウェルト王は剣を引き、安堵でその場に膝を突いたギーツは疑問の表情でリリカを見上げた。そんな彼にリリカは優しい口調で説明した。
 
「申し訳ありません、ギーツ様。あの停戦は、わたくしよりあなた様の名で陛下宛てに送らせていただいた親書により成ったことですの。全てはこれからの為に……」
「ど、どういう事だ……?」
「話してやれ」
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