【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく

42.元大聖女、処刑される

 日が正午に昇る頃。
 身体を清め、麻縄で腕を縛られた私は、王城から広場までの道のりをゆっくりと歩かされた。通りの左右では等間隔に配置された兵士たちが民衆が入り込むのを抑えている。

 処刑前の数日間、私はこれまでの人生をずっと振り返っていた。
 アズリット家に生まれたことや、聖女としての力が発覚した時のこと。

 妹が生まれ、一緒に育って行った頃のこと。
 そして妹もまた聖女であることが判明し、そこから少しずつ姉妹の仲が悪くなっていったこと。

 子供の頃、妹は自分が聖女であることを自慢げに話し、私と同じようにその力を高めようと努力していた。

 聖女の修練法の一つに、枯れ草癒しというものがある。
 わざと日当たりの悪いところに置いて萎れてしまった花や草木を聖女の力を与えて元気にするのだ。

『――すごいでしょ姉様! 私今日は、こんなに出来たのよ?』
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