記憶をなくした海
情事
…なんだ、こんなものか。

それが、諒以外の男と初めて関係を持ったあとの率直な感想だった。

周りの人に迷惑をかけるのもよくないので、私が初めての火遊び相手に選んだのは、普段から女遊びの派手な男友達だ。

「まさか、寧々みたいにお堅い子が、誘いに乗るとは思わなかったね」

男はベッドでタバコを吸いながら言うが、

「誤解しないでね、もうこれっきりだから。セフレになる気もさらさらないし、彼のもとに戻る。それだけ」

さっさと服を着ると、私はホテルを出た。

諒以外とホテルに来るなんて、何とも変な感じだった。
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