魅惑的だよ君は

1.新しい生活


4月○日○曜日

大学の入学式の日の朝、風でなびくカーテンの間から日の光が覗き込んでいる

ーうぅ、まぶし…

鏡に反射する光が目に入る

ー今日の入学式大丈夫かなぁ

他人と話すことが苦手な私は
入学式に行くことが意味もなく不安だった

新しいスーツを着て鏡の前に立ち、
鏡に映る自分に声を掛ける

「大丈夫、頑張る…」
励ますように胸の前で小さく拳を握る


ポケットの中に愛用のイヤホンをしまうと
ずっと会いたいと思っていた人を思い出す…

ー今日からあの人と同じ学校に行くんだ…


あの人のことを考えると
さっきまで緊張していた心が
キュンキュンする恋心に塗り替えられていく


ー髪型、メイク、服装…
ー髪型、メイク、服装…

鏡を見ながら何度も何度も確認していると
ふと時間が気になって時計を見る

「もうこんな時間っ!」
集合時間が近づいているのに気がついて
慌てて家を出た
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