忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

15.変わらない丈

「亜美」

 名前を呼ばれて。

 亜美は振り返った。

「先生」

「お疲れ」

「お疲れさま」

 大学に入って。

 亜美は。

 高校時代に通っていたこの塾で、アルバイトを始めた。

 今は。

 教わる側ではなく。

 教える側。

 それでも。

 丈のことは変わらず。

 先生と呼んでいた。

 塾の授業を終えた丈が、鞄を肩にかけて立っている。

 亜美も帰る準備をしていたところだった。

「今日、もう終わり?」

「うん」

「じゃあ帰ろうか」

「うん」

 自然に。

 隣を歩く。

 高校を卒業して。

 大学生になって。

 生活は大きく変わった。

 通う場所も。

 毎日の時間も。

 周りの人も。

 それなのに。

 丈といると。

 何も変わっていないような気がした。
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