忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

27.また丈のところ

 亜美は人混みの中を歩いていた。

 息が苦しい。

 どこへ向かっているのかも分からない。

『丈って人と一緒にいただろ』

「……っ」

 また思い出す。

『聞いた』

 やめて。

 今は考えたくない。

 なのに今度は、唇に群司の感触が蘇る。

「…………」

 亜美は唇を押さえた。

 怖かった。

 何が起きたのか、まだうまく整理できない。

『群司怖いよ……』

 そう言ったのに。

 腕を掴まれて。

 キスされた。

「…………」

 足を速める。

 人の間を抜けても、胸のざわつきは消えなかった。

 亜美はスマートフォンを取り出した。

 震える指で画面を触る。

 気づけば、丈とのやり取りを開いていた。

『先生』

 送る。

 すぐに返事が来た。

『何』

「…………」

 それだけで、少しだけ息ができた。

『会いたい』

 送信する。

 しばらくして。

 丈から居場所が送られてきた。

 亜美はスマートフォンを握ったまま、走り出した。
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