忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

40.相談したい

 部室を出てからも。

 亜美は何度もスマートフォンを見ていた。

 幸也との画面。

 何も増えていない。

「…………」

 分かっている。

 幸也は、ちゃんと考えてから話すと言った。

 連絡してはいけないとも言われていない。

 それでも。

 文字を打つことができなかった。

 何を送ればいいのか分からない。

 謝ったらいい?

 待った方がいい?

 明日になったら。

 幸也の気持ちは変わってしまう?

「…………」

 足が止まった。

 画面を閉じる。

 すぐに、また開いた。

 今度は。

 別の名前を探す。

 丈。

 指が止まった。

 もう相談しない。

 そう決めた。

 丈も。

 もう会わないと言った。

 だから。

 連絡してはいけない。

「…………」

 画面を閉じた。

 数歩歩いて。

 また開く。

 丈の名前。

 押せない。

 閉じる。

 また歩く。

 立ち止まる。

「…………」

 どうしたらいいの。

 幸也に嫌われたくない。

 別れたくない。

 でも。

 何を話せばいいのか分からない。

 丈なら。

 そこまで考えて、亜美は唇を噛んだ。

「…………」

 駄目。

 もう相談しないって決めた。

 スマートフォンを鞄にしまった。
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