忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―
 大学へ着く。

 講義室へ向かう途中、亜美はいつもと違う道へ曲がった。

 研究棟。

 丈がいるかもしれない。

 廊下を歩く。

 前から来る人を見る。
 開いている扉の向こうを見る。

 いない。

「…………」

 もう講義へ行かないと。

 分かっているのに、もう少しだけ歩いた。

 向こうから背の高い男の人が来る。

「…………!」

 先生?

 胸が跳ねた。

 少しだけ足が速くなる。

 けれど近づいて、違う人だと分かった。

「…………」

 また違った。

 亜美はスマートフォンを取り出した。

 返事はない。

 先生、どこにいるの。

 時間を見る。

 もう行かなければ間に合わない。

 それでも一度だけ振り返った。

 丈はいなかった。
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