交際0日 言葉にしない愛を見かけた街角
12年もの間、ずっとすぐ傍で見つめてきたのに、言葉で愛を伝えるのも、こんな風に抱きしめるのも初めてだ。

彼女も、恐る恐る、そのしなやかな腕を回してくれた。

これまでずっと、不思議なことばかりやらかしては、僕を退屈させなかったトーコ。

結婚したら、今度はどんな顔を見せてくれるのだろう?

実は今日、いつもなら観ないような恋愛映画を一緒に観に行って、少しでも僕のことを意識してほしいと思っていた。

恋愛映画のように、ロマンチックな出来事なんて、この先も起こらないかもしれない。

それでもいい、否、それだからいい…心からそう思った。


FINE
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