佐藤 しおりの幸せ探し〜揺れる恋

突然の愛の言葉に、しおりは真っ赤になって戸惑う。

「なに、突然?」

しおりの肩を抱き、辺りを見渡した零士は、チュッとしおりの唇に軽くキスを落とす。

「もう、外で…」

恥ずかしいしおりは、零士の手を振り払い先を歩きだすが、赤くなった耳は隠せていなかった。

「しおりちゃん、置いてくなよ」

駆け寄り、しおりと手を繋いで歩く零士に、しおりの頬はゆるむ。

きっとショッピングや映画のデートも楽しいのだろうが、気ままに歩いて、いろいろな発見を2人で見つけるデートの方が楽しいと思うのだ。

途中、葡萄園を発見し、園の持ち主と仲良く話す零士のコミニュケーション力に惚れ惚れする。

葡萄狩りの時期ではないことを残念がるしおりに、時期がきたら一緒にこようと約束してくる零士との未来があることに、嬉しいと微笑むのだ。

そして公園まで登りきり、そこで夕暮れを眺める2人は、その綺麗な光景に目を輝かせる。

「この夕日が見れて、登ってきてよかった」

「俺も、そう思ってた」

付近に誰もいないことを確認していた零士は、しおりの顎を取り口付ける。

「また、見に来ような」

しおりもまた、零士の顔を引き寄せ口付け抱きつくのだ。

「そういう可愛いこと、外でしないで」

無自覚に煽るしおりに、悩ましいため息を吐く零士だった。
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