いつか永遠の眠りにつく日まで
耳をすませると微かに波の音が聞こえる。どうやら海が近いようだ。けれど、いつも聞いていた波の音とは少し違う。

(少なくとも、ここが城ではないのは確か…。)


海が近いということはまだ城に近いか、あるいは海沿いに大陸を北へ進んでいるということ。


間違いないのは、デネブリスへ向かっているということ。

私を攫っておいて、のんびりルチェルナ王国内に留まる可能性は0に等しい。


東へ進んでいるか、西へ進んでいるか。

ゴルディス山脈は東西にこの大陸を横断しているから、ゴルディス山脈を越えるとなると…。


…そういえば、ゴルディス山脈は西端から回り込むと、山脈の真ん中を越えるよりずっと緩やかだと聞いたことがある。

逆に、東側は山の真ん中よりずっと険しいと聞く。


恐らく城の騎士団もそれに気付いて西回りで私たちを追うはず。


そう考えを巡らせていたその時、扉が開く音がして馬車が軋んだ。

かと思うと、ふわりと身体の上に毛布のような肌触りのものが掛けられた。



「寝ておけ。でないと明日、大惨事になるぞ。」



そうレオ様の声がして、優しい手つきで私の頭を1度撫でた。

(どうして。)

その優しさが、今は憎いほど腹立たしい。


(もっと酷い人なら、嫌いになれたのに。)

私はレオ様の手に導かれるように、眠りに落ちていった。
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