長嶺さん、大丈夫ですか?
 一人顔をうつむかせて叫び出したい衝動に耐えていると、隣のデスク上のスマートフォンが鳴った。


「……あ、みなちゃん? 今夜予定ある? ……はは! そうそう、誘ってんの。 みなちゃんに会いたくなっちゃったから」


 わざわざ昨日振った相手の隣でそんなことを言う長嶺さんのそれは、まんまと傷ついた心にグサグサ突き刺さっていく。
 痛む胸を押さえながら長嶺さんを睨みつけると、それに気づいた長嶺さんはニコッと笑ってみせた。


「っ……、」
 

 クズ。


「お先失礼しまーす」


 殺意で瞳孔を開かせた私は、クズ過ぎる上司の背中にフラれろフラれろフラれろ……と呪いをかける。

 わかってます。わかってますよ。
 元々私なんか眼中になかったことぐらい。
 そもそも長嶺さんは遊びならオッケーがモットーだし、私みたいな遊び慣れてない子供の、しかも処女を相手にするわけがない。
 私の告白も突然過ぎた自覚はある。
 でも仕方ないじゃないか、気付いたら口にしてたんだから…って、これは開き直りだけど。

 だからって! だからってこんな対応! ひどすぎる!
 あ~~~なんであんなクズ上司好きになっちゃったの~~~!!


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