長嶺さん、大丈夫ですか?
 『優花』は、光のトラウマだ。

 高校卒業する頃、遊び歩いてた光が初めて本気で好きになった女。
 当時第一志望の大学に落ちて親が離婚した光は、心の拠り所として優花にすがった。
 それがきっかけで優花とその時付き合ってた唯くんは別れてしまったらしい。
 それから4年間、光は一切の遊びをやめて、ずっと優花のそばにいた。
 大学卒業間近、ようやく光の押しに負けた優花が首を縦に振って付き合い始めたものの……やっぱり唯くんを忘れられない優花に、光は別れを告げて二人のお膳立てをし、晴れて優花と唯くんは元サヤ、光は遊び人に戻った、というのがざっくりとしたあらすじ。


「俺がいなかったらきっと優花は唯くんと別れることはなかったし、俺に負い目を感じてあんな風に泣くこともなかった」


 この元あてうまくんは、好きな女にフラれたことを引きずってるわけじゃない。

 〝自分の恋が二人の仲を引き裂いてしまった〟ということを、ずっと引きずっている。

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