長嶺さん、大丈夫ですか?
 しばらくして振動が収まり画面が暗くなっても、すぐにまた覚醒して光り、震え、いじらしく持ち主を呼ぶ。

 どうしても気になってチラリと視線をスマートフォンの画面上に泳がせてみれば、


『昨日はありがとう!楽しかったね♡』
『明日の夜ひま?』
『今度言ってたお店連れてってー』
『ねぇかまって〜♡』


 私は目をそらして、少し下がってきていた眼鏡の右側の丁番をつまんで直してから、もう一度そのスマートフォンに目を向ける。

 立て続けに送られてきているメッセージの、送り主はそれぞれ違う。

 上からユキカ、ヒトミ、サユリ、アカネ。 その間にマユ、サキからの不在着信も挟まっている。

 そしてたった今アミから『ヒカルーこないだうちに傘わすれてったでしょー』というメッセージが追加された。


「…………」
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