長嶺さん、大丈夫ですか?
《どうしたの急にー》

「……最初はさー、からかって遊んでたらなんか変な空気になりそうだったから、それを逆手に向こうから距離取ってもらおうと思って敢えてこっちから距離詰めに行ったわけ」

《? うんうん》

「殴られるか逃げるかされるかなと思ったら、もうなんつーの……すげぇピュアな反応返ってくるから変なスイッチ入っちゃって、もうこのままいけるとこまでいっちゃおうかなって」

《んん?》

「もう自分をコントロールできないーとか言ってる年齢ではないわけじゃん。 引いたわ。 自分に」

《は……?ちょっと待って、もしかしてそこに女いんの!? あたしとの約束ブッチしといて女といたわけ!?》

 アユが怒り出してようやく自分がうっかりしていることに気が付く。

「……っていう猫の話です」

 我ながらギリギリの言い逃れ。

《……ほんとに?》

「ほんとほんと」

 こういう時の女の子の勘は、ほんとにすごい。 俺は変に取り繕うのをやめて別の話題にかかる。

「そうだ、友達のイケメンオーナーの店が今度オープンするんだけど一緒に行かない? 今日の穴埋めに奢るよ」

《えー♡ イケメンオーナーとか大好物〜♡ 行く行く~♡》


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