【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
「結衣子、学校でその話するのイヤがってるんだ。女どもがうるさいからな。だからこの話は男子の中だけにしてくれ」
「あぁ、亮平ムカつくことに、モテるからな。余計なことは言わねーよ」

 ホッ……。

 いや! 俺、咄嗟になんてことを!

 ……でも待てよ。
 俺、結衣子か麻衣子おばさんの手料理しか食べられないんだ。将来的に、結衣子と結婚するしかないじゃないか?

 藤田の両親も枚岡の両親も、間違いなく諸手を挙げて喜ぶはずだ。
 兄姉だって、結衣子のことは俺以上に可愛がってる。だったらこのままでいいか。思いがけず、ヤローどもに牽制出来たことだしな。

 結果オーライ!

 こうして、学内で俺たちは秘密の許嫁に(勝手に)なった。

 高校に入ってすぐ、あの勘違い女、佐伯香織事件があった。

 付き合う気なんて、さらさらなかったけど、さすがに廊下のど真ん中で告られて、びっくりしすぎた俺は頷いてしまった。それがとんでもない悪夢の始まりだったのだ。

 まあ、2日でカタはついたけど。

 でもあの勘違い女のおかげで、結衣子と初めてキス出来たんだよな。そう考えると、佐伯、グッジョブだな。

 それから、俺はすぐに枚岡のおじさんのところへ行った。
 そう、これは結衣子が知らないことだ。

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