未来キャンバス 広がる健太のドキドキワールド!

第1話 ようこそ こんにちは!

 健太は5時間目の授業が終わって昇降口から出てきました。
「よう、健太。 また明日な。」 「忘れ物するんじゃねえぞ!」
「沙織ちゃん 一緒に遊ぼうね。」
 子供たちが挨拶をしながら帰っていきます。 「みんな帰っちゃった。」
昇降口から一人出てきた健太はつまらなそうな顔で砂場のほうへ、、、。 すると、、、。
「何だろう?」 何だかキラキラした鏡のような物が落ちていました。
近付いてみるとそれは砂埃をかぶったキャンバスでした。

 誰にも見付からないように健太はキャンバスを持って家に帰ってきました。
「ただいま。」 「お帰り。」
「今日のおやつはなあに?」 「ドーナッツよ。」
お母さんは洗濯物を畳みながら棚を指差しました。
 健太は二階の自分の部屋に入ると持ってきたキャンバスを机の横に置きました。
それにしても誰がこんなキャンバスを小学校の砂場に落としていったのでしょう?
(隠してないとお母さんたちに怒られるな。) そう思いながらタオルでキャンバスをきれいにします。
「でも不思議なキャンバスだよねえ。 何か起きるのかなあ?」
「私をきれいにしてくれてありがとう。 私に絵を描いてくれたら君の願いを叶えてあげるよ。」
「え? 誰?」 健太が不思議そうに辺りを見回しているとキャンバスが輝きました。
 「私に絵を描いてごらん。 不思議なことが起きるよ。」 健太はそれでも半信半疑です。
「まあいいや。 言われたとおりに描いてみよう。」
そう思った彼はおやつが入っている棚の絵を描いてみました。 「え?」
一階に在るはずの棚が目の前に現れたではありませんか。 「嘘だろう?」
「開けてごらん。 おやつが入っているよ。」 言われるままにガラス戸を開けてみると、、、。
確かに健太が大好きなドーナッツが入っていました。
 ドーナッツを食べているとお母さんの声が聞こえてきました。
「おかしいなあ。 確かにここに在ったのに、、、。」
健太は気になって一階へ下りていきました。 「お母さん 何を探してるの?」
「棚が無いのよ。 買い物に行こうと思ってるんだけど財布が無いから、、、。」
それを聞いた健太は焦りました。 (このままじゃお母さんに怒られる。)
「どうしたらいいんだろう? ぼくの部屋に在るなんて言えないしなあ、、、。」
「絵を消してごらん。 棚は元の場所に戻るよ。」 またキャンバスが教えてくれました。
言われたとおりに消してみると、、、。
「在った 助かったわ。」
あちらこちらを探し回っていたお母さんの安心した声が聞こえました。
「君は不思議なキャンバスなんだね。 何処から来たの?」
「私は未来の国から来ました。 君が拾ってくれたので喜んでます。 これからよろしくね。」

 その夜、健太は不思議な夢を見ました。
何処までも何処までも続く長い道を歩いています。
やがてその道は森の中へ入っていきました。
遠くに女の子らしい人影が見えます。
(誰だろう?) そう思っていると白髭を生やしたおじいさんが出てきて言いました。。
「君はこれから人気者になるんだ。 そしていつかあの女の子と仲良くなるだろう。」
山のほうへ消えていったおじいさんを探していると健太は目を覚ましました。
 小鳥のさえずりが聞こえます。 もう朝です。
夢のことはすっかり忘れて健太はキャンバスを持って学校へ、、、。
さあ、ここから不思議なお話が始まります。
健太はこれからどうなるのでしょう?
そして仲良くなるという女の子とは誰のことなんでしょう?
それはこれからのお楽しみ。
じゃあ、またね。
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