冷徹な御曹司は親友の妹への溢れ出る独占欲を抑えられない。


 ぎゅうぎゅう抱きしめた後、ちょっとだけ離して私の顔を真っ直ぐ見つめた。


「俺も紫が好き」

「…………本当に?」

「え、そこ疑うとこ?」

「だって、キリさんだし」

「俺のことなんだと思ってんだよ……」

「急に結婚とか言うし」

「俺もわからないんだよ……誰かに本気になったことないから。
だから、結婚したいって言えば……」


 恥ずかしそうに、ちょっと気まずそうにするキリがかわいくてキュンとした。

 結婚したいって言えば、本気さが伝わるかもしれないって思ったってこと?


「……それくらい、私のこと好き?」

「うん、好き」

「……。」


 すぐ近くにあった枕を引っ張って、顔の上に乗せて隠す。


「なんで顔隠すの?」

「今変な顔してるもん」

「変な顔?」

「ニヤついて、めっちゃ変な顔してる」


 めちゃくちゃニヤニヤして絶対変な顔だから見られたくない。
 だって、こんなに嬉しいと思ってなかったから。好きな人に好かれることが。


「きゃあっ!」


 なのに枕を剥ぎ取られてしまった。


「見せてよ」

「や、やだ」

「全部見せて」

「っ!」


 首筋にちゅうっと吸い付かれ、そのままちゅっ、ちゅっと鎖骨や胸までくまなくキスされる。


「あっ、やっ」

「紫の全部が欲しい」

「……っ!」


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