君の後ろは特等席
優斗が病院に運ばれて今日で二ヶ月が経とうとしている。
あの日から優斗はずっと眠っていた。
「優斗……目覚ましてよ。声が聞きたい。いつもみたいに名前呼んでよ!」
ベッドの上に横たわる優斗の手を握る。
すると優斗の手がゆっくりと動き、握り返された。
「……あや…か?」
「優斗…! よかった。死んじゃったらどうしようって……思って」
突然の出来事に嗚咽で言葉が途切れる。
「安心しろ。俺は死なねーよ」
「本当によかった……」
「もう泣くなよ。また一緒に出かけよーぜ。俺のバイクの後ろは彩花の特等席だからな」