イケメン御曹司は恋に不慣れ

「…はあああっ!?」
「最初からそうやって思いっきり嫌そうな顔で睨んでいたら、あの男も自分で退治できたんじゃないのか」

思わずかけられた発言に動揺した私は、不敵な笑みを浮かべて去っていくあの人の後ろ姿を、震える手を握りしめ眺めることしかできなかった。
あの時の人で間違いないよね…。
はあ…と、小さくため息を一つ吐いた。

そういえば、あの時がはじめて会った時だったのに、私ってば今さっき『はじめまして』って挨拶しちゃったんだ。
でも、名前を知ったのは今日だし、はじめましてでよかったのかな。

なんて、余計なことを考えてしまうくらい今も動揺しまくっている。
少し落ち着こうと胸に手を当て「ふぅ…」と息を吐いてみた。
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