人生は虹色
我が子達と一緒に遊ぶ航の姿を見て、琴美は幸せそうに微笑んでいた。



『のど、渇いた』と言われたら、琴美より早くお茶を入れて飲ましてくれる。



『おしっこついてきて〜』と言われると疲れているはずなのに、立ち上がりトイレまで着いていく。



琴美は航の行動力に、いつも感心していた。



当たり前で普通なことなんだろうけど、その当たり前のことをみんなは、率先して行動に移すことがてきない。



だけど、航は嫌な顔せず、母親の負担を減らそうと、動ける父親で、珍しい方だった。



「できたよ〜」



琴美は笑顔で航達を呼び、テーブルには色取り取りのご飯が並べられていた。



琴美の手料理は言うことなしに美味しかった。



「今日ね、仁にいちゃんに遊んでもらったよ〜」



燈也は大好きなエビフライを口いっぱい頬張りながら、航に伝えた。



「そっか、良かったな〜。何して遊んだんだぁ?」



「お絵かきとぉ〜、トランプぅ〜」



「そうかそうか、そりゃあ楽しかったな〜」



洸也にご飯を食べさせながら、航の顔は笑顔だった。



「燈也も奏也も仁にいちゃん大好きだもんね〜」



琴美も会話に混ざり、食卓は明るかった。



ぐっとお腹もせり出してきて、産まれてくる我が子が待ち遠しい。



「そう言えば今日、どうだった?」



航は思い出すかのように、琴美に尋ねる。



「はい、これ!」



琴美は持っていたエコー写真を航に渡した。



白黒で写った小さな写真には、小さな生命。



「うお〜、手がはっきり見えてるじゃん!」



日々、お腹の中で成長する我が子に感動と喜びを覚えながら、航は琴美のお腹を優しく摩っていた。



「うん。この子、写真撮られてるのが分かってるのかな?手を振ってるみたいでしょ?」



「うん、だね。それにしても、だいぶ大きくなったな〜」



「でしょ。今度から検診が2週間に1度になるんだよ」



「そっか、じゃあ次はどんなポーズ見してくれんだろうな?楽しみだわ〜」



エコー写真に釘付けになりながら、お腹の中にいる我が子を想う。



「ふふ、だね!」



琴美もお腹の中で成長していく我が子を想うように、手でお腹にいる我が子を感じ取っていた。



二人は子ども達に囲まれ、幸せだっただろう。



幸せな時間は、今日もあっという間に、流れて行った。
< 33 / 143 >

この作品をシェア

pagetop