人生は虹色
勉強机にやり残した問題集。

大好きなアイドルのポスターが壁、

一面に貼られた真っ白な部屋。



夏実は迷っていた。



秋祭りにどの服を着て行こうか。



かれこれ30分は服と格闘するが、決着はつかない。



スカートやズボン、ワンピースなどがベッドの上に散乱していた。



しばらくして、着て行く服を決めたのだろう。



ラベンダー柄の花柄ワンピースを身に纏い、

置き鏡を見ては入念に口紅を塗っていた。



ベッドの上に服を散らかしたまま、

時間を気にするように、

急いで部屋から飛び出す。



「ちょっと、夏実!どこ行くのー?」



足音を立てて、降りて行く夏実に気付いたのだろう。



慌てながら出て行く娘を見て、

夏実の母親は飛び出すように、

夏実を追っていた。



「え!ちょっと遊んで来る〜!夜までには帰るからぁ」



「えっ!ちょっと待って!大丈夫なのぉ?もうすぐ模試があるんでしょー?!」



「平気!ちゃんと勉強してるからぁ〜。別にいいでしょ?」



夏実は母親の返答も待たずに、待ち合わせ場所へと向かった。



「ちょっと夏実ぃ〜!模試の結果次第じゃあ……はぁ」



珍しく出かけて行く娘の後ろ姿を不思議そうに見つめては、唖然と大きなため息が溢れていた。



親の心配も他所に、夏実は歩いてすぐそこの僕が指定したコンビニに着いた。
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