人生は虹色







仲秋——



「———えー、今から来年の文理選択の調査をしようと思う。

今から配る紙に名前を書いて、三つの中からどのコースにするか、今段階の希望を書いてくれ……」



「二年生になるのも、あと半年を切ったぞ。
コース分けで自分の将来も変わるから、安易な気持ちで決めないように!」



担任の今田《いまだ》が真剣な面持ちでクラスメイト達に説明している中、僕はポカンと口を開け、外を眺めていた。



———正直、自分の将来なんて、どうでもよかった。



やりたいことや夢?



そんなもの見つけるのが苦しくなって、一生このままがよかったんだ。



考えるのもバカバカしくなるほど、現実逃避する僕は配られた用紙に手をつけることはない。



用紙には文系と理系、

そして、特進コースが書かれていた。



周りから聞こえてくる文字を刻む雑音や喋り声が、聞こえてくる度に息苦しさを感じる。



何だか自分だけが取り残されているみたいで、口から大きなため息が溢れ出た。



ああもう、自分が何をしたいのか分からない———
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