やっぱり中身で勝負

戸山家

戸山くんはお父さんの退院まで毎日私を送ってくれた。

お母さんの体調も落ち着いているが、今週から時短で職場に復帰したお母さん。
再来週には、また点滴の抗がん剤を打つので私は少し不安になっていた。

戸山くんは、そんな私を励ましてくれる。

「寺田さんを送るのは今日で最後だね」

「うん。戸山くんが送ってくれたおかげで本当に助かったし、私の話しを聞いて励ましてもらったから凄く心強かった。 ありがとうございました。」

「オレなんかで役に立ったなら良かったわ。」

「あ、戸山くんのお母さんからウチのお母さんに連絡きておしゃべりしたらしいよ。」

「ああ、そういえば母さんも言ってたなぁ」

「ウチのお母さんは、今週末に戸山くんのお母さんとお茶するの〜って張り切ってたもん」

「なんかさ、PTAの役員の時に一緒に問題解決したとか何とか言ってて、母さんは、寺田さんのお母さんとは気が合うって言ってるからよろしく頼むわ」

「こちらこそ、これからも宜しくお願いします」

「こちらこそ宜しく〜」

私はお母さんとも相談して戸山くんのお父さんの退院祝いの花束を夕方自宅に届くように手配した。

翌日の夕方に戸山くんのお母さんからお礼の電話があり、女子会の待ち合わせもしていた。
お父さんが亡くなってから仕事と家事だけだったお母さんに戸山くんのお母さんとの楽しい時間ができて嬉しく思った私。

バタバタしてたから忘れてたけど、
その後、敦志からはメールも電話もなかった。
私もそれほど気にならなかった。
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