やっぱり中身で勝負
オレは幼少期から地域のラグビークラブでラグビーをしていた。
中学生の時も毎日ラグビークラブで練習していた。

そのクラブチームは毎年のように全国大会へ行く強いチームだった。

毎年、何人かはいろんなラグビー強豪校へスポーツ推薦で特待生としてスカウトされていて、オレも関西の高校から声がかかりスポーツ推薦で入学する事が決まった。

地元を離れたくない気持ちとラグビーをもっと強くなりたい気持ちで心の中は揺れていた。
高校に入学し、慣れない寮生活と部活。先輩や同級生たちとの人間関係。本当に大変だった。
強豪校の厳しい練習に耐え、高3でレギュラーにもなり花園へ出場できたが、試合には2回戦で敗退した。

そして、ある大学からの推薦をもらったオレはそのまま大学でもラグビーを真剣に取り組み、努力した。

オレの青春はラグビーだけだった…

さすがに実業団からは声が掛からなかったので、父親の勧めで大手建設会社へ就職した。
父親からは3年後にウチの会社へ入り、3代目の修行をするように言われた。

オレには兄弟がいない。兄貴がいたらしいが、生後まもなく原因不明で突然亡くなったらしい。
だから幼い頃から、家族に3代目を継ぐのはお前だぞ!っと言われていた。

そして、家族との約束通り今年の春に地元へ戻り、今は平社員から仕事を教えてもらっている。

親父はオレが入社して間もなくして以前から悪かった心臓の手術をする事になった。

その病院でまさか 沙緒里ちゃんに逢えるなんて!
このチャンスを逃したくない。
大学時代や就職してからも彼女は何人かいた。

就職して同期だった彼女はオレが地元に戻る話をした途端、すぐに別れを切り出されオレは振られた。

できることなら初恋の沙緒里ちゃんと距離が縮まれば良いのだが…
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