恋は秘密のその先に
 動きやすい服装に着替えて、二人は意気揚々と街に繰り出した。

 自由の女神やセントラルパークなどの観光名所を巡りつつ、ショッピングを楽しむ。

 夜は展望台から夜景を眺め、夕食を食べながら明日の予定を話し合う。

「えーっと、カレンさんが予約してくれたチケットは……。昼からロックフェラーセンターのスケート、夜はミュージカルだから、その合間に美術館巡りをしたいです」
「いいな。あとは何かしたいことあるか?」
「んー、もし時間があれば、オーケストラやバレエも観たいです」
「そうしよう。時間はたっぷりある」
「あと、25日はクリスマスのミサに参列出来たら……」
「へえ、クリスチャンなのか?」
「いえ、そういう訳ではないので申し訳ないですが……」
「セント・パトリック大聖堂も、洗礼を受けていなくても大丈夫だから、行ってみよう」
「はい! 楽しみです」

 それと……と、文哉は少し視線を落としてから尋ねる。

「クリスマス・イブは、どうする?」
「特に希望はありませんが。副社長は? 行きたい所ありますか?」
「いや、ないんだけど。その……」

 珍しく言い淀む文哉に、真里亜は、ん?と首を傾げる。

「どうかしましたか?」
「あ、いや。その……クリスマス・イブに、俺と一緒にいてもいいのか?」
「は? 副社長はお一人で過ごされたいのですか? でしたら私は……」
「いや、そういうことじゃなんだ。つまりその、どこかで一緒に夕食を食べてもいいか?」
「はあ、それは、もちろん」
「分かった。じゃあ予約しておく」
「はい。お願いします」

 腑に落ちないまま返事をし、しばらく考えてからようやく真里亜は気づいた。

「やだ! 副社長。クリスマス・イブは恋人と過ごす日ってこだわってるんですか?」
「いや、お前が気にするかなと思って……」
「へー、案外ロマンチストなんですね。副社長って」
「だから! 俺はこだわってないってば!」
「でも、予約しておくってことは、どこか素敵なレストランをってことですか?」
「それは、まあ……。女の子がイブにファストフードって、なんか、悲しむかなと……」
「えー!? 副社長の口からそんなセリフが! 大変、住谷さんに報告しなきゃ!」
「バカ! 絶対にやめろ!」

 ギロッと恐ろしい目で睨まれ、ようやく真里亜は口をつぐんだ。
< 128 / 172 >

この作品をシェア

pagetop