恋は秘密のその先に
 カフェでひと息ついたあと一度ホテルに戻り、着替えてからミュージカルを観に出掛ける。

 カレンに何が観たいかと聞かれ、文哉が『ウエスト・サイド・ストーリー』と答えた意味がようやく分かった。

 この話のヒロインの名前はマリア。

 劇中、主人公のトニーが、ヒロインのマリアに恋焦がれて歌う曲『マリア』

 何度も熱く切なく「マリア」と呼ばれ、真里亜は思わず顔が赤くなる。

「Tonight」では、伸びやかな歌声に胸が震え、圧巻のダンスシーンに目が離せなくなり、最後はストーリーにのめり込んで、いつの間にか涙が溢れていた。

「はあ、なんだかもう、お腹いっぱい」

 レストランで夕食を食べながら、真里亜は余韻に浸ってうっとりする。

「その割にはパクパク食べてるじゃないか」
「それは、まあ。いくら素晴らしくても、ミュージカルでお腹は満たされませんから」
「ぶっ! お前、ホントに色気より食い気だな」

 なんだかんだと言い合いながら、二人はニューヨークを大いに満喫していた。
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