恋は秘密のその先に
翌日。
いよいよニューヨークを発つ日がやってきた。

朝からパッキングし、ホテルをチェックアウトしてからクロークに荷物を預けて街に出掛ける。

「どこに行く?」
「んー。昼過ぎには空港に向かうから、近場をうろうろしましょうか」
「そうだな」

二人はしっかりと手を握り合い、最後のショッピングを楽しむ。

「真里亜、クリスマスプレゼント何がいい?」
「え?そんな、いらないです。もう充分、色々してもらったから」
「俺が真里亜に贈りたいの!ほら、行こう」

文哉は真里亜の手を引いて、ティファニーに連れて来た。

「どれがいい?ネックレス、それとも指輪?」
「いえ、あの。本当に何も…」

真里亜は店の雰囲気に気後れして、後ずさる。

「これは?」

文哉がショーケースの中のブレスレットを指差す。

あ、可愛い…と思った真里亜は、ふと値札を見てびっくりたまげた。

「ゼ、ゼロが!ゼロがたくさん!円にしたらいくらなの?」
「それはいいから。あ、こっちはどう?」
「ひーっ!桁が!読めない。すぐには分かんない!」
「ああもう、うるさい!黙ってろ!」

(えっ、ここでいきなり鬼軍曹?!やっぱりいたのね、鬼軍曹)

真里亜は、ササーッと後ろに控えた。

文哉はスタッフの女性と話しながら、次々とショーケースからアクセサリーを取り出してもらっては考え込んでいる。

暇になった真里亜は、ウロウロと違うコーナーを見て回った。

(あっ!このマグカップいいな。ふふ、お揃いで買っちゃおう)

真里亜はすぐさま会計を済ませると、綺麗なティファニーブルーの紙袋を見て微笑む。

文哉には内緒にしようと、肩から掛けていたトートバッグにしまってから、アクセサリーコーナーに戻った。
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