恋は秘密のその先に
第二十二章 輝く未来へ
「マリア!」
「カレンさん!」

 迎えた9月のニューヨーク訪問。
 真里亜は、キュリアスのオフィスでカレンと抱き合って再会を喜ぶ。

「あー、やっと会えたわね!」
「はい。いつも画面越しでしたものね」
「あれ? マリアってこんなに美人だったっけ?」
「カレンさん、それは一体どういう……?」

 去年会った時は、そんなに不細工な印象を持たれていたのかと思っていると、カレンは真里亜をじっと見たあと、ニヤリと笑った。

「なーんだ、そういうことか!」
「え? そういうこととは?」
「あっちも見てこよーっと。フミヤ!」

 カレンは、ボカンとしている真里亜を残して、ジョンと話している文哉のもとへ行く。

「やっぱり! いい男になったわねー、フミヤも」

 バシバシと文哉の肩を叩きながら、カレンは嬉しそうに笑う。

「ねえ、やっぱり夫婦別姓にしなさいよね。ほら! みんなあなたのこと、アベ・マリアって覚えてるんだから」

 振り向くと、広いオフィスの部屋に顔合わせで集まった各国のチームメンバーが、何人か真里亜に握手を求めてきた。

 やっと会えたね!アベ・マリア。
 画面で見るより綺麗だね、アベ・マリア。

 とにかく会う人皆にフルネームで呼ばれる。

 真里亜は苦笑いで握手に応じていた。

「みんな、パーティーは明日の夜だ。記念写真も撮るから着飾って来てくれよ」

 ジョンの言葉に、皆でイエス!と答えて、その日の顔合わせは終わった。
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