大学生をレンタルしてみた
「すいませーん」

能天気な声がした。窓口の関さんが対応するが、その声の主は私の方を見ていた。

「これなんで来週体育館使えないんですか」

あれから毎週体育館で遊ぶことを覚えた飯塚晴人だ。関さんが「学祭の準備や片付けに使うので」と言いながら私の方を見る。

半年前に臨時職員で入った関さんはまだ23歳で、おとなしく真面目だけど学生達にオドオドしやすい。

確かに今の大学生達はチャラチャラしてて私から見ても怖いこともある。でも話すとちゃんと受け答えしてくれるし、そんなに学生から嫌な目に遭ったことはない。彼らの親達からはクレームも受けるが。

私は関さんの隣に並んで晴人と向かい合う。

「来週水曜までは施設利用に制限出るんですよね」
「そういえば学祭ですね、あ、うちのサークルでテーブル追加で使いたいんですけどそういうのってここに直接言えばいいんですか」
「学祭実行委員会通して下さい」
「はーい」

晴人はおとなしく再来週の体育館をおさえる。この人って何しに学校に来てるんだろう。


< 13 / 56 >

この作品をシェア

pagetop