虹へ向かって飛ぼう

*今世も前世も自分が望んだ道


 学校のイベントというものは昔から好きではなかった。片親だったからってこともあったけど、母親が再婚してからは余計に嫌だった。どうせ見に来るのはチヤホヤされるカミラだけで、カミラが自分の子供ってことが両親は自慢なんだろう。

 10月中旬に迫った体育祭はこんなご時世ってこともあって、ありがたいことに短縮された。お昼を一人でとか最悪だし、出来るならなんの競技も出ずに終わりたいくらいだ。まあ、そんな奇跡は起こることはない。

「奇跡か……」

 奇跡ってなんだろう?

「なんの話ですか?」

「えっ」突然声をかけられ、持っていたシャベルを思い切り落とした。そうだ、花の植え替えをしている途中だったことを思い出した。

「相変わらず考え事が口に出やすいですね」

「……」

 嫌味にしか聞こえない言葉に私は先生を睨みつけた。
 
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