虹へ向かって飛ぼう

 あの時の私の気持ちを、愚かだと言うの?

「……」

「人間は自分次第でどうにでも出来ると思ってる。それにはたくさん傷つくことも、乗り越えなければいけないこともある。でも、それだけの力はあると信じている」

「……」

 何も知らないくせに。

 私のこと、なんにも知らないくせに!

 強い雨足に、真っ白く先が見えなくなった外へ私は飛び出した。

「椿!」

 先生の私を呼ぶ声も無視し、私は走った。

 なぜか分からない“悲しい”という思いが私の中で大きくなっていくのを感じていた。

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