嘘つき運命ごっこ


「ふゆちゃん、おおきくなったら、けっこんしようね」


幼少期にありがちな、異性の幼なじみとの結婚の約束。

私の答えは、最初から決まっていた。


「だめだよ。みずきくんとは、つながってないんだもん」


バッサリと斬られたときの、“彼”の顔は、今でも覚えている。



――私は小さな頃から、他の人には見えていないらしいものが見えている。


霊感なんてものじゃない。


見えるのは、糸。

右手の小指に結ばれた、赤い糸。

繋がれた同士の人が近くにいれば、その人達の間には、運命のなんとかっていうやつで繋がっているのが、見えてしまう。


幼なじみの瑞貴(みずき)と、私の小指の間には、それがなかった。
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